ikeの日記

しがない研究者の雑記。

ICPSR Summer Program

ICPSR Summer Programは毎年ミシガン大学で行われる、社会科学で用いられる統計的手法に関するサマースクールである。
Summer Programのメインは6月下旬~7月中旬及び7月下旬~8月中旬に行われる4週間セッションなのだが、今年はコロナウイルスの影響でいずれもオンラインでの実施だった。
自分は今回縁あって前半のセッションでTAをやる機会に恵まれたので、いくつか感じたことや教訓 (?) をまとめておこうと思う。

その1. CPTに関して

アメリカでは留学生がICPSRのように自らの大学外で働くためには、CPTという特別な許可を得る必要がある。
CPTはビザ関係の手続きの中では非常に簡単な部類に入るのだが、やはりビザに関することなので手続きは早めにしておいた方がいい。
自分は今回恥ずかしながらギリギリになってからCPTを取らねばならないことを知ったので、周りの人に迷惑をかけてしまった。
昨今の就労・就学ビザに関する出来事もあるので、今後は気をつけようと思う。

その2. Zoom fatigue

オンラインでのミーティングやセミナーに伴う疲労をよく"Zoom fatigue"などと呼んだりする。
TAをやる前は、普段からパソコンばかり見ているから自分は大丈夫、などと思っていたが、実際にやってみると予想以上に大変だった。
平日は毎日講義とオフィスアワーを合わせて4-6時間Zoomしていたわけだが、それで消耗してしまってTA以外の勉強や研究はまるでできなかった。
コロナウイルスがしばらく収まらない可能性を考えると、こういったことにもなんとかして慣れないといけないなぁと思う。

その3. オンライン講義について

対面授業とオンライン授業とどちらがいいかについていろいろ議論がある。
オンライン授業のメリットとしてはチャットなどを使って受講者が質問しやすくなること、授業を録音すれば受講者が自分の都合の良い時間に勉強ができることが挙げられる。
他方対面授業と違ってオンライン講義だと受講者全体を見渡すことができないので、受講者がどの程度理解しているのかが非常にわかりづらかった。
また、Zoom fatigueもあってだと思うが、対面授業と比べドロップアウト率が高くなりがちなところも難しいなと感じた。

その4. StataとR

自分がTAをしていたコースではインストラクターの先生はStataを使って手法の実装について解説していたのだが、受講者の半数近くはRユーザーだった。
そのため自分はオフィスアワーや採点といったTAとしての通常の役割に加え、授業で用いられたStataコードをRに翻訳する、という仕事もしていた。
Stataはあまり見かけないようなモデルについても推定やその後の解釈に関するコマンドが用意されていて、さすが有料ソフト、非常に便利だと思った。
Rだと適切なパッケージがない場合自力で数式をコードに直さねばならないので、ある程度プログラミングや行列の扱いに慣れている必要がある。
そのため、Stataと比べてプログラミング初心者にはハードルが高いが、あまりわかっていない手法の実装が難しい、というメリットはあると感じた。
まあどちらも使えるのが一番なのだが…。

といろいろ書いたが、総じて非常によい経験だった。
夏休みの1か月をアナーバーで過ごせることを期待していたのでそれだけは心残りだが、アメリカ国内で移動できるようなったら避暑に行けたらと思う。